ドル/円相場は、2月25日の90.88円をボトムに、96円水準まで値位置を切り上げている。欧州債務問題、米財政問題などに対する懸念が盛り上がりを欠く中、改めてドル買い・円売り圧力が強くなっている。3月7日に95円の節目に到達したが、翌8日に発表された2月米雇用統計が市場予測を上回る強めの数値になったことで、早くも96円台乗せを達成している。
自民党の時期日銀総裁人事が確定する中、既にドル買い・円売り材料は出尽くしたとの見方も強くなっていた。前週の衆議院に続いて今週は参議院で正副総裁候補の所信聴取が行われるが、脱デフレに向けて政府との共同歩調が確認される一方で、現段階では特にサプライズとなるような追加緩和案が出てくる訳でもなく、4月以降の実際の日銀会合でどのような緩和政策が打ち出されるのかを評価するステージにシフトしている。今後もこうした地合は続くとみているが、ここにきて影響力が増しているのがドルサイドの動向である。すなわち、円安というよりもドル高圧力が強くなっている可能性が高い。2月米雇用統計では、失業率が前月の7.9%から7.7%まで大幅に引き下げられ、2008年12月以来の低水準を記録している。詳細に内容を読み解けば、労働参加率が1981年9月以来の低水準に留まり、長期失業状態が解消されないなど、早期の金融緩和政策解除を見通せる状態にはない。しかし、実体経済の回復傾向が加速していることも間違いなく、米金利上昇の動きが金利面からドル買い・円売りを促している。
もっとも、日米2年債利回り格差からは93~94円水準が適正レベルとみており、最近のドル高・円安には過熱感が否めない。トレンドとしては、米国債売りの動きから日米金利差は拡大傾向を維持し、それがドル高・円安を支援するとみているが、現在のドル/円相場の水準には若干の過熱感が否めない。上値を買い進むよりも、調整局面があれば買い拾うイメージになる。
今後1週間の予想レンジは、94.00~97.00円。